2019年 棹懸り 1
2020年 07月 05日
4番目の芝は棹懸りです。
この芝の3匹の獅子は親子と言われています。
女獅子がお母さん、大太夫と小太夫は、子どもの獅子です。
流れの急な大きな川があり、この川をどうしても渡らなければなりません。
最初に、母親の女獅子が、何度も川を行き来して川の浅瀬を探して向こう岸へと渡り
「さぁ、ついてお出で」と子どもたちを促します。
まず、小太夫が渡ろうとしますが、なかなか、浅瀬を見つけられません。
そこで、女獅子がもう一度川に入って、安全な場所へと誘導して渡らせます。
次に、大太夫が渡りますが、やはり浅瀬が見つけられず、再び女獅子が川に入って誘導します。
このように、この芝では女獅子が常にリードし、休みなく舞い続ける重要な役どころになります。
今年は女獅子を、獅子舞役者歴3年目となるK君が舞います。
小太夫は、ベテラン役者のリーダーさんが胸を貸し、大太夫は昨年、摺り上がり、
一人前の獅子舞役者となった獅子舞歴9年目の弁慶君が舞います。
弁慶君は、この前の芝、三拍子でも大太夫役を演じ、二芝続けての舞いとなります。
バイタリティ溢れる若き獅子舞役者と、伸び盛りの新参役者の熱演、ベテラン役者の円熟の舞いを期待します。
午後、最初の芝、棹懸りです。
女獅子を舞うK 君、先輩役者の手を借りながら入念に獅子頭を調整していました。
新参の役者たちは、毎年、難易度が上がる新しい芝に挑戦して行きます。
棹懸りは、終始、中腰で舞うと言うキツイ芝だそうです。
特に女獅子は、休みなく舞うので体力、気力ともに持続させなければなりません。
牡丹の花笠を被った高校生の娘さんは、小学校2年生からささらっこを演じるベテランです。
ささらを摺る動作も、庭場で舞う所作も大変美しく目を奪われます。
小太夫を舞うリーダーさんの娘さんでもあり、父と娘の親子共演となります。
各芝の前に、庭場を清めると言う意味で、ホウイという道化役が登場しますが、
今回は、ささらを担当している少年たちも一緒に舞うようです。なかなかお似合いです(^^)
庭場への道行です。笛方の先頭は、この芝の進行役の親笛を担当する二人が立ちます。
この芝は、若い女性たちが親笛を担当されます。下名栗は笛方の人数も多く大変充実しています。
ホウイたちが、庭場をゆっくりしたステップで回り、清めます。
少年たちも、物おじせずに堂々として、なかなか上手です。将来が楽しみです。
満を持して、獅子とささらが庭場に繰り出しました。
メリハリのある演技は素晴らしいです。新参の女獅子も遅れずに先輩たちにピッタリついて行きます。
花笠を被り、ささらを摺りながらの移動は、なかなか難しいと思います。
庭場を移動した後、獅子はそれぞれに別れます。
二芝連続出演に挑戦する弁慶君。見守るのは氏子会の役員をなさっている御祖父様です。
御祖父様は、かつて獅子舞役者さんだったそうです。
厳しくも温かな目線で見守られる様子に、若い獅子舞役者へのエールを感じました。
熱心に練習されたのでしょう。キレのあるささこの所作に目を奪われました。
ささら上級者の摺りザサラを摺る美しい所作をご覧ください。
摺りザサラを体の横へ向け、体を半回転させながら摺ります。
摺りザサラを下に向けながら摺り、手首を回転させささらを上に向けながら摺る。
それぞれの所作が、水が低きに流れるように滑らかでしなやかで美しいのです。
そして、獅子舞役者たちの一糸乱れず呼応する所作も美しいです。
まず、女獅子が三匹の揃いの所作から抜け出して単独で舞い始めます。
川の浅瀬を探すようなポーズを取ります。
ささらは体を左右に回転させながら、ささらを摺ります。
振袖のたもとが揺れて美しいです。
女獅子が単独で舞う間、庭場の下手で待つ大太夫と小太夫は、その場でダイナミックに舞います。
ぴったりと息の合った舞、テンポ良い太鼓の音、見ているだけで小気味よいです。
ささらと獅子舞役者が呼応して舞い競うような感じです。
わたしは、この場面は棹懸りの中でも優れた場面だと思っています。
庭場に川に見立てた竹棹が渡され、いよいよ、女獅子が棹に懸ります。
棹に首を当てて、肩の高さで往復します。
この棹の高さが低ければ低いほど見応えあるとされ、獅子舞役者は終始中腰で大変です。
女獅子が棹に懸っている間、下手では、大太夫と小太夫のダイナミックな舞いが演じられ見応えあります。
女獅子は何度か往復します。
午後一番の芝、真夏の炎天下で立ち尽くし、ささらを摺り続けるのも大変です。
仲間の少女たちが、一人一人に給水し、風を送るために庭場に登場します。
一人は摺りザサラを持ってあげ、一人はタオルを渡し団扇で仰ぎます。
獅子舞の所作を妨げないように間を見計らって行う彼女たちの連係プレーは見事なものです。
ついに浅瀬を見つけて歓ぶ女獅子
棹に向かって脱兎のごとく突進し、
臆することなく、満身の力でぶつかります。Kくん、なかなかのものですよ。
全力でぶつかると、太い棹がしなり、両端で棹を抱えている持ち手は。必死で押さえます。
いったん弾かれるように棹から離れ、身をかがめて何度か間を計り棹をくぐります。
これで、女獅子は川を渡りました。さあ、わたしに続きなさいと子どもたちを即します。
今度は小太夫が進み出て棹に懸ります。
しかし、なかなか浅瀬が見つからず、女獅子が助けに入ります。
こうして、女獅子が先立ちになり川を渡ると言う動作に入ります。
この時、二匹がぴったりと離れないように足を運ぶのが良いとされています。
終始離れず二匹が一体となって見えます。この絶妙な足さばきはベテラン役者の真骨頂です。
そして、浅瀬の場所を教えられた小太夫は棹に向かって行きます。
飛んだり跳ねたりしながら絶妙な間で棹に突進する小太夫、棹持ちは足を踏ん張って待ち構えます。
満身の力を込めて棹を押し切ろうとします。気迫の演技です。
こおして、無事、小太夫も川を渡りました。
by simonaguri
| 2020-07-05 00:16
| 例大祭